ウイルスとは、ラテン語で「毒」という意味です。
光学顕微鏡では見ることができないほど小さく、大きさは20~300ナノメートルの病原体です。(1ナノメートル=10億分の1メートル)
千円札の肖像でも有名な野口英世は、黄熱病の病原体を見つけることができないまま亡くなりましたが、その後、1940年代に電子顕微鏡が開発され、黄熱病のウイルスが発見されています。
ウイルスは、単独で生命活動はできず、宿主の細胞内で増殖し、様々な病気を引き起こします。
インフルエンザやエイズ、がんの原因となるウイルスも存在し、動物だけでなく植物の病気も引き起こします。
外殻はタンパク質で、遺伝子のDNAまたはRNAどちらか1つの核酸を持っている非常に単純な構造をしています。
ウイルスは動物・植物・細菌を宿主とし、ウイルスの核酸は、宿主の力を借りて自らを複製していきます。
細菌と違って、宿主への感染がなければ増殖はできません。
ウイルスによる病気には、インフルエンザのように流行し、何百万人もの人がかかるものもあれば、脳炎などのように重篤な状態に陥る病気など、様々な病気を引き起こしています。
ウイルスの感染には、飛沫感染(ひまつかんせん)、経口感染、昆虫による媒介などがあります。
このような病気への一番の対策は、ワクチンで、1970年代ワクチンによって天然痘は撲滅されました。
現在も様々な研究によって、ウイルスによる病気への対策だけでなく、遺伝子治療としてウイルスを用いることも行われています。
ウイルスが引き起こす病気の代表が「風邪」です。
風邪の原因となるウイルスの種類は200以上あります。
風邪は、咳やクシャミによる飛沫感染によってうつります。
体内に風邪の原因となるウイルスが侵入すると、好酸球などが活性酸素をウイルスに吹き付けてウイルスを退治します。
退治されずに残ったウイルスが増殖して、風邪を発病します。
そして、感染した細胞がインターフェロンを作り、免疫システムを作動して発熱します。
免疫細胞の活動によって、感染した細胞を排除し、抗体を作り出し、風邪を完治させていくのです。
抗生物質は、細菌には効果がありますが、ウイルスには効きません。
抗生物質を処方するのは、風邪などが原因で炎症が起こり、そこに雑菌が入って炎症を悪化させないためです。
免疫システムによって発熱するのは、免疫細胞を活発に働かせるためと、ウイルスや細菌が熱に弱いためです。
発熱によって、風邪以外のウイルスやがん細胞までも殺すことができるので、解熱剤を容易に使うことは避けましょう。
普段から健康に気をつけて、風邪をひいても免疫細胞が活発に動くようにしておくことが大切です。
風邪にならないための対策の1つは、この免疫力をつけることです。
睡眠を充分にとり、バランスの良い食事を心がけ、虫歯菌が体に入って免疫細胞の力を損ねないよう、虫歯や歯周病があれば治療しておきましょう。
風邪をはじめとして様々な病気への対策は、まず健康な生活を心がけることから始まるのです。